BOOK - INTRODUCTION

PRISON'S INSIDE ART / 刑務所 内部 アート 99-2000

カーティスは15年以上も前から日本に住み続けている。彼のポートレイトは彼の地で有名企業の広告に使われてもいる。カーティスは日本に住む外国人カメラマンの誰よりも多く賞を取っているのだ。伝統的な写真術を自家薬篭中のものとしているカーティスは、アルヴィン・ラングドン・コバーン、エドワード・ステイヒェン、アルフレッド・スティーグリッツのような写真家たちに強く影響を受けている。こう言った写真家達の存在は彼の仕事や作品のスタイルに色濃く反映されている。アンディー・ウォーホル、マドンナ、ウィリアム・バロウズ、横尾忠則、REM、三船敏郎その他数多くの人々が、プライベートも含めて彼のモデルとなっている。ある時、カーティスはテレビ・ドキュメンタリーと新聞で、囚人と彼らが描く芸術がこの世に存在するということを知り、そして、収容者とカリフォルニアの受刑システムにおけるアート・ワークをドキュメントするという発想が彼の中に生まれた。

この作品集を通して、カーティスは我々がほとんど知ることのない世界の一端を我々の前に明らかにしてくれた。そして我々の多くが決して目にすることのできない芸術も。ここにはありとあらゆる人種の男そして女が収容されている。彼らは手に入るあらゆる素材を利用して作品を作っているのだ。囚人達はお互いに、それぞれの芸術について語り合っている。お互いの作品について議論し、比較し、評価し合うのだ。かれらにとって芸術派特別なものであり、アトリエは特別な場所なのだ。彼らは中庭でしゃべったりすることで満足することはもはやないのだろう。

私はこの中で、罪の意識に苦しんでいる人々の芸術を目の当たりにした。50人の囚人と過ごした5年間で。囚人たちが創造する芸術をドキュメントし、撮影することは、人生を写真に撮ることに他ならない。

私がカーティスと行ったフォトセッションの最中、私は彼の気楽なやり方に口をはさみはしなかった。カーティスのフランクなスタイルは、安易なやり方ととらえられるかも知れない。しかし、彼は几帳面で正確だ。それは彼の完成した作品に明確に現れている。

カーティスは、率直なスタイルと態度を持ったニューヨーカーだ。彼のポートレイトのように率直で新鮮だ。カーティス・ナップはこのプロジェクトを完全にやり遂げた。彼は豊穣な主題を見いだし、我々にそれを示してくれたのだ。君のカメラの光がこのアートの部屋を輝かせてくれるように・・・・・ありがとう、カーティス。

ティモシー・リアリー